令和6年度 町政施政方針

更新日:2024年04月01日

はじめに

昨年、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行され、私たちの日常生活をはじめ各種行事がコロナ禍以前の規模で開催されるようになりました。

一方で、原油価格及び原材料価格の高騰で日常生活は多大な影響を受けており、町民の皆様、町内事業者の皆様におかれましては、将来への不安もあるものと推察しておりますが、町の各事業に多大なるご理解とご協力を賜りましたことを深く感謝申し上げます。

町といたしましては、引き続き、町民の皆様の命と健康、生活を守ることを第一に、様々な課題解決に向け全力を尽くしてまいります。

町政運営にあたっての基本的な考え方

私が町長に就任して以来申し述べております、「想定より急速に進む人口減少」は、令和5年12月に報道された、県内各市町村における人口の将来推計によると、本町は非常に厳しい数値であったことから改めて深刻な課題であると受け止めたところであります。

人口減少を要因とする地域活力の低下や経済活動への影響、さらには集落における支え合い機能の維持については、対策を講じることにより全てが直ぐに結果として現れるものではないと認識しておりますが、より実効性のある施策を粘り強く講じていかなければならないものだと考えております。

人口減少に加え、厳しい財政状況の中でありますが、令和6年度は「第3次南会津町総合振興計画」に掲げた町の将来像「自然と人が笑顔を育むまち ~ともに生きる みんなのふるさと~」の実現に向けて前進するため、町民の皆様の声に真摯に向き合い、町民と行政が協力し一体となって、同じ未来を見据えたまちづくりに取り組んでいくことが重要であると考えております。

本年を次世代に繋げる町政発展の新たな幕開けの年として、町民の皆様が誇れるよう町政運営に邁進してまいるとともに、町民の皆様の健康を守り経済を再生させるため、町民と行政の協働により力を結集し、町民の皆様一人ひとりが幸せを実感できるまちづくりに向けて取組を進めてまいります。

 

 

 

令和6年度予算編成にあたって

令和6年度当初予算につきましては、令和5年度に引き続き「人口減少に歯止めをかけ、次世代に継承できるまちづくり」を予算編成の基本方針とし、以下の7つの項目を重点施策に掲げております。

   1. 結婚・子育て・生活支援による若者の定住促進

   2. 誰もが安心して生活できる福祉の充実

   3. 地球規模の環境活動への取り組み強化

   4. 特色を活かした持続可能な農林業の推進

   5. 会津田島駅周辺を軸とした中心市街地の活性化

   6. まちの魅力発信の充実による地域間交流の推進と関係人口の更なる拡大

   7. 公共施設の効率的な管理運営と将来を見据えた行財政改革

 

これらの重点施策を踏まえ、一般会計予算総額は対前年比1.9%減の125億6,800万円、特別会計は3会計総額で40億9,300万円、公営企業会計は2会計総額で17億7,460万1千円としたところであります。

なお、本予算につきましても、必要な投資と財政規律のバランスを見極め、持続可能な財政運営の視点に立った執行に努めてまいりますが、国の経済対策といった緊急的な事案に対しては、機を逸することなく、柔軟な発想とスピード感を持って必要な対策を講じてまいります。

 

令和6年度主要施策の概要

第3次南会津町総合振興計画に掲げる5つの目標の柱に基づき、主要な施策の概要について申し述べます。

目標の柱1「豊かな自然ときれいな水が育む元気に安心して過ごせるまちづくり」

はじめに、目標の柱1に掲げている「豊かな自然ときれいな水が育む 元気に安心して過ごせるまちづくり」についてであります。

本町の豊かな自然を後世に引き継ぐとともに、町民一人ひとりが健康で安全に安心して暮らし続けられる環境づくりを目指してまいります。

自然と生活環境の保全では、自然資源の活用と自然環境の保全を両立し、豊かな自然を次世代に引き継ぐ責務があります。

環境基本計画の進行管理に加え、地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を令和6年度に策定し、カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、ごみの減量化及びリサイクルの推進に取り組むことで、持続可能な循環型社会の構築を進めてまいります。

また、特定外来生物防除では、耕作放棄地を中心に分布域が広がっていることから、引き続き駆除対策の検討を進めるとともに、町民一人ひとりが特定外来生物の影響について理解していただけるよう、環境学習の実施などで周知に取り組み、自然環境保全について意識の醸成を図ってまいります。

さらに、河川の水質調査の実施や合併処理浄化槽設置に係る経費の一部補助を行い、阿賀川・伊南川流域全体の環境保全に引き続き取り組んでまいります。

町民の健康づくりと医療の充実では、町民の皆様が健康に不安を抱えることなく暮らし続けられるよう、各種予防接種にかかる費用の助成や成人保健事業、食育事業等により町民の健康づくりに取り組んでまいります。

また、将来にわたって地域医療が維持されるよう、医師や医療スタッフの確保について県や関係機関へ引き続き要望し、町民の皆様が安心して暮らしていける地域医療体制の確保に取り組んでまいります。

特に、伊南地域においては、令和6年3月をもって診療所が閉院されると伺っております。町といたしましては、伊南地域の住民の医療確保を目的とした緊急措置として、南郷地域及び舘岩地域診療所への送迎体制を整え、地域医療の不安解消に取り組んでまいります。

高齢者や障がい者の福祉では、高齢者や障がい者が抱える多様な問題に対し、相談機能を強化し個別の支援に速やかに結び付ける重層的支援体制整備事業に着手します。また、「住み慣れた場所で誰もが最期まで輝ける笑顔あふれる共生社会をつくるまち」をテーマに策定する第9期の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、地域包括ケアシステムや認知症施策の推進を強化し、共生社会の実現を目指してまいります。

子育て支援では、本町の強みであります相談支援体制をより深化するために、これまでの子育て世代包括支援センター「えがお」に母子保健事業を統合し、新たにこども家庭センターを設立することにより、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもに対する幅広い支援を行ってまいります。また、令和5年度から実施している子育て世帯における保育料の負担軽減を目的とした保育所入所応援助成事業を継続するほか、子育て世代からのニーズが高い、屋内遊戯施設の整備について検討を進めてまいります。

結婚支援では、独身男女の出会い・交流の場を創出するため、結婚サポート企業等への登録企業と協力、連携しながら、独身男女を対象とした将来の生活設計についてのセミナー開催及び独身男女が交流する機会を創出するための婚活イベントを開催してまいります。

また、結婚された方を祝福する思いを込めまして、令和6年度から婚姻届を提出した町民に対し結婚祝い金を交付する新婚生活エール事業を新たに実施してまいります。今後も、複数の事業を組み合わせた多角的な結婚支援対策を展開し、町全体で結婚を後押しする気運を醸成してまいります。

目標の柱2「魅力を高め活力を生み出すヒト・モノ・カネの好循環化」

次に、目標の柱2の「魅力を高め活力を生み出すヒト・モノ・カネの好循環化」についてであります。

人口減少にある中で、本町には就労の場が少ないほか、商店街も店舗が少なく活気が失われつつある現状を打破するため、地域の特性をいかし農林業や商工業の生産性を向上させ、町内の経済が循環するまちづくりを目指してまいります。

地域特性をいかした農林業の推進において、農業の分野では、農業・農村振興計画に基づき、農業従事者の減少を見据えた中で受け皿となる新規就農者や多様な担い手の確保、さらには農産物の付加価値向上を目指す経営体の育成に引き続き取り組んでまいります。また、荒海地区及び鴇巣地区において持続可能な生産を支えるほ場整備を推進し、引き続き農業生産基盤の整備や農地の集積を図り、効率的かつ安定的な農業経営と農業生産性の向上に努めてまいります。

さらに、農家の経営所得の安定に向け、経営規模に応じた農業機械導入や施設整備に係る経費の一部支援及び地域の特色をいかした重点振興作物の栽培に係る支援などを継続し、農業の持続的発展と農業所得の向上を目指してまいります。

このほか、農作物等への鳥獣被害を抑えるため、個体数調整に努めるとともに、複合柵設置等の被害対策支援を継続しながら集落と一体となって対策に取り組んでまいります。

林業の分野においては、豊富な森林資源をいかして町内経済の好循環に結びつけるとともに、森林の持つ公益的機能を維持するため、森林環境譲与税を活用し皆伐地の再造林を促進する経費の一部支援を行い、持続的な森林整備を進めてまいります。また、みなみあいづ森と木の情報・活動ステーション「きとね」において、林業技術の研修や木育機能を強化し次世代を担う人材育成を進めるほか、木育キャラバンin南会津の開催等を通して、多くの人が南会津町の林産業を「知る」「関わる」機会の充実を図ってまいります。

さらに、町産木材の利用拡大及び町内林産業の安定経営と基盤強化のため、町産材を使用した住宅の新築・増改築を行う施主への支援や林産事業者に対する各種補助金制度による支援を引き続き実施してまいります。

商工業においては、中小企業を取り巻く環境が依然として厳しい状況にあることから、企業における生産性向上や従業員の処遇改善等に取り組む町内事業者に対して、設備投資や人材確保に係る経費の一部助成を継続してまいります。また、一定の投資と雇用を確保して町内に工場等を新設した企業に対して、固定資産税相当額の一部を奨励金として交付するほか、個人事業者及び法人の新規創業等に係る経費の一部を助成することにより、事業活動の促進と生産能力の向上及び雇用の創出を図るとともに、事業承継についても具体的施策の検討を進めてまいります。

併せて、地元企業における人材確保に対する支援といたしまして、一般求職者及び高等学校等の新卒者を対象とした合同企業説明会などを引き続き実施してまいります。

さらに、物価高騰の影響を受け低迷する地域経済の活性化を図るため、電子決済の導入と併せてプレミアム付き電子クーポンを発行することで、町民の経済的負担の軽減と消費喚起及び電子決済の利用を促し、商工業者の経営安定化につながるよう支援してまいります。

田島地域中心市街地の活性化については、経営者の高齢化や担い手不足など様々な要因により空き店舗が増加し、活気が失われつつあることから、町内事業者等が協働により取り組む中心市街地における賑わい創出のイベント経費、及び空き店舗の利活用に要する経費の一部を助成し、まちなか再生計画の具現化に向け引き続き取り組んでまいります。

観光、地域間交流の推進については、本町の星空の魅力を観光資源としていかした観光誘客の推進体制を整備するため、星空ガイドの育成やモニターツアーを実施いたします。加えて、教育旅行や合宿誘致に継続して取り組むほか、企業の研修先としての地位を確立するため、地域団体と連携しながら企業研修の魅力づくりや受入れ体制の構築を促進してまいります。

また、国道289号八十里越の開通を見据えた地域振興については、老朽化した道の駅きらら289の大規模改修に向けて準備を進めるとともに、新潟県三条市、只見町との3市町による「越後・南会津街道観光・地域づくり円卓会議及び同懇談会」で引き続き協議を重ねながら、広域観光や産業連携等の相互交流につながる施策展開を促進してまいります。

さらに、地域のシンボルである県指定天然記念物「古町の大イチョウ」の保護と地域コミュニティの活性化のため、公園整備に継続して取り組む計画であり、令和6年度は、駐車場やトイレ、四阿(あずまや)の整備工事を実施してまいります。

これらの取組や本町の魅力を広くPRするため、SNS等の多様な広報媒体やインフルエンサーを活用しながら、個人旅行者などの誘客強化を通して交流人口、関係人口の拡大と本町の観光産業の活性化に努めてまいります。

目標の柱3「快適で充実した生活が送れる魅力ある生活基盤づくり」

次に、目標の柱3の「快適で充実した生活が送れる魅力ある生活基盤づくり」についてであります。

様々な災害への備えや除排雪への対応、道路や上下水道、公共交通といった社会・生活基盤を適切に維持していくことにより、町民生活の快適さの向上や、安全安心な暮らしとともに持続可能なまちづくりの実現を目指してまいります。

良好な居住環境の整備では、道路及び橋梁の整備に関しまして、町道永田・中荒井線の改良工事、町道関本・古内線の富貴沢橋架け替え工事及び町道和泉田3号線の下山橋補修工事など、町民生活に密接にかかわる生活道路の改築・修繕工事を実施してまいります。また、土地区画整理事業施工区域での宅地造成及び豪雨時に溢水する恐れがある排水施設等の改修事業を引き続き実施するほか、降雪期における生活道路の機能を確保するため、田島地域、南郷地域の老朽化した除雪ドーザ各1台を更新してまいります。

一方、会津縦貫南道路5工区、栃木県側で事業が着手された栃木西部・会津南道路など、本町を取り巻く幹線道路の整備が着実に進んでおります。今後も、県道黒磯田島線を含め幹線道路の整備促進に向けた要望活動を力強く継続してまいります。

住宅確保要配慮者対策及び空き家対策に関しましては、町営住宅松下団地の建て替え事業、町営住宅会下団地の改修事業の継続など、町民の生活基盤の整備を計画的に進めてまいります。また、空き家の現状や空き家所有者の意向などを把握するために空き家の全戸調査を実施し、多様なニーズに対応した空き家の利活用など今後の住宅施策を検討するための現状把握に努めてまいります。

上下水道において、水道事業では、荒海・糸沢地区水道施設の効率化や田島第一地区と田島第二地区の施設の統廃合に向けて高野地区への加圧ポンプ場整備に着手するほか、老朽化で漏水リスクの高い管路を優先的に更新することで、水道水の安定供給に努めてまいります。

また、下水道事業では、上郷地区と高杖原地区の農業集落排水処理施設の統廃合に向けた管路工事等を引き続き実施するほか、南郷浄化センターと古町地区農業集落排水処理施設の統廃合に向けて着手してまいります。

これらの取組により、水道事業及び下水道事業の効率的かつ効果的な維持管理による、持続可能な上下水道事業の実現を目指してまいります。

公共交通においては、自家用車を持たない高齢者などの交通弱者にとって、移動手段として必要不可欠なものであることから、伊南地域の交通空白地解消を含め地域住民のニーズに即した公共交通体系の早期実現に向けて取り組んでまいります。

また、町全体の公共交通につきましても、引き続き地域住民、交通事業者及び関係機関と協議を重ねながら町民の皆様が利用しやすく、効果的かつ効率的な公共交通網の形成に努めてまいります。

併せて、高齢運転者による痛ましい事故が全国で増加する中で、交通事故の防止と公共交通利用促進を図るため運転免許証の自主返納者に対する支援を継続してまいります。

災害の備えとなる防災対策においては、現在舘岩地域及び伊南地域に設置している移動系の防災行政無線が、平成20年の電波法改正に伴い令和6年12月以降使用できなくなることから、電波法に対応した設備の更新を実施してまいります。

また、防災、災害時の緊急情報を福島県や県内市町村などと共有するための、福島県総合情報通信ネットワークの更新を行ってまいります。引き続き防災行政無線設備の効率的な維持管理と効果的な活用により、災害時等における迅速な情報の収集や提供に取り組み、町民の安全の確保に努めてまいります。

併せて、消防車庫1棟を整備するほか消防車両1台を更新し火災発生時の対応体制の充実を図ってまいります。今後も消防車両及び消防施設を計画的に更新することにより、消防団の組織運営を充実させるとともに、防災備蓄品の計画的な更新を進めることで、自助・共助・公助の連携による町民の安全安心な生活環境の確保に努めてまいります。

目標の柱4「世代を超えて「南会津愛」を育む“共育”のまちづくり」

次に、目標の柱4の「世代を超えて「南会津愛」を育む“共育”のまちづくり」についてであります。

地域の担い手の育成には郷土愛を育む必要があると考えており、家庭や地域など町民一人ひとりが郷土の歴史や文化に触れ、交流を深めることで、共に育ちながら郷土の良さや暮らす喜びを知ることができるまちづくりを目指してまいります。

学校教育の推進においては、実用英語技能検定いわゆる英検の合格に向けて、目標を持って取り組んでいる中学生が増加しているため、英語が話せる人材育成事業を継続してまいります。

一方、少子化により児童生徒数が減少する中で複式学級は増加傾向にありますが、複式学級の指導体制を充実させるため「学習支援員」を配置し、小規模校の良さをいかした教育環境を整備してまいります。

また、長期の受入れに向けた準備として実施している短期の山村留学事業は、長期山村留学事業への移行に向けて関係機関等との協議を進めてまいります。

さらに、特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応として、「特別支援教育支援員」を配置し、学級担任と連携して日常生活上の介助や学習支援、安全を確保するなど、共生社会の実現に向けた教育の構築を目指し、特別支援教育における教育ニーズに的確に応える指導体制を整えてまいります。

また、子どもたちの郷土愛を醸成するため、田島祇園祭屋台歌舞伎ワークショップや藍の栽培など、町内各小中学校において地域のヒト・モノ・コトに触れる体験学習を引き続き実施してまいります。

子どもたちが安心して学べる環境整備では、学校施設長寿命化計画に基づき施設の適正管理に努め、安全性・快適性を備えた教育環境の整備を図るため、田島小学校屋内運動場の改修工事を実施してまいります。

また、県立高等学校改革により令和5年4月に開校した新南会津高等学校の通学等に対しまして、後援会組織をとおして必要な支援を継続し、安心して学べる環境を確保してまいります。

高校の統合により、令和7年4月に空き校舎になる南会津高等学校南郷校舎につきましては、校舎及び跡地の利活用について地域住民の目線で検討し、町に対して提言する住民組織「南会津高校南郷校舎跡地利用住民検討委員会」を設置いたしました。検討委員会において議論を重ねた上で提言をいただき、町としての方針を示してまいります。

生涯学習においては、様々な世代の方々へ地域の歴史や文化などの学習の機会の提供及びスポーツを通した健康づくりや地域コミュニティの形成を図るなど、生涯学習事業や公民館講座の充実に努めてまいります。

地域と連携した教育を推進する放課後子ども教室での体験活動などを継続しながら、世代間交流による郷土愛や自立心を育むなど地域を担う人材の育成が、子育て支援や年齢、性別を超えた“共育”に繋がるよう努めてまいります。

また、生涯学習の拠点施設である御蔵入交流館の空調設備改修工事を継続するとともに、公民館講座や文化講演会では、子育て世代の応援に繋がるような事業を展開しながら、生涯学習環境の充実に努めてまいります。

地域文化の保存・伝承、芸術文化の振興においては、本町の代表的な伝統芸能である田島祇園祭屋台歌舞伎や、伝統技術である藍染技術の後継者育成と伝統文化の継承に取り組むなど、先人から受け継がれてきたかけがえのない民俗芸能や伝統文化の保存伝承に努めてまいります。

また、地域の財産である文化財が地域の誇りや愛着が持てるものとなるよう、奥会津博物館での企画展開催や講座などの開催を幅広く周知し、多くの人が本町の文化について知り、触れる機会の充実に努めてまいります。

さらに、文化ホールでの音楽・舞台芸術公演などを開催し、芸術文化に親しむ機会の充実を図ってまいります。

目標の柱5「誰もが主役で誰もがつながる未来を見据えた協働による町の運営」

最後に、目標の柱5の「誰もが主役で誰もがつながる未来を見据えた協働によるまちの運営」についてであります。

町は急激な人口減少や厳しい財政状況の中にあり、社会情勢の目まぐるしい変化に対応していくために、町民と行政が互いに協力し、町民一人ひとりがまちづくりの主役として輝くことができる行政運営を目指してまいります。

デジタル化の推進においては、様々な場面で人手不足が叫ばれている中で、国は全ての国民がデジタルによる利便性を享受し、多様な幸せを実現する社会を目指しています。本町においても、デジタル化に対応した人材育成を目的に、スマートフォンの利便性を理解していただくようスマートフォン教室の開催及び国家試験であるITパスポート試験の受験費用助成を継続していくほか、職員の意識・業務の改革を推進するにあたり、職員のデジタルに関する研修などをとおして、デジタル技術を活用した行政サービスの充実に引き続き取り組んでまいります。
また、マイナンバーカードを利用することで、コンビニエンスストアなどで住民票の写しや印鑑証明書、税関係証明書の取得が可能となりましたが、今後もマイナンバーを活用した行政サービスについて検討を進め、マイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。
さらに、町民に対して賦課徴収する町税について、コンビニでの納付を可能とする「コンビニ納付」を令和6年4月から開始することで、納税者の納付機会の拡充を図るとともに、収納率の向上を目指してまいります。

行政と町民協働のまちづくり及び地域コミュニティの充実に関しましては、私が町長に就任して以来、動く町長室などの広聴事業をはじめ、様々な場面で様々な世代の町民の皆様と対話する場を設けてまいりました。この取組の中で、町民の皆様の声に真摯に向き合い対話を進めることで、いただいた意見を町政に反映するほか、地域の相互扶助や自主的かつ主体的な活動及び集落機能の維持強化が図れるよう継続して支援するとともに、町と団体や団体間の協働の取組を推進してまいります。

また、町外在住の方が将来的に二地域居住や移住しやすいよう、空き家バンク制度と住宅取得支援に関する事業及び子育て支援に関する事業を組み合わせた情報提供など、関係機関等と連携しながら関係人口や定住促進の事業を継続して取り組んでまいります。

効率的・効果的な行財政運営に関しましては、厳しさを増していく財政状況や限られた人的資源の中で、さらなる住民との協働によるまちづくりを実践し、公共サービスのスマート化や行政組織の強化を図りながら、地域に相応しく質の高い公共サービスを提供していかなければならないと考えており、第4次南会津町行政改革大綱で定めた目標を実現するため、前述した事業などの取組を進めてまいります。
また、多くの町有施設を抱える本町にとっては、それらの維持管理費が将来的な財政運営の大きな負担になることが予想されます。そのため、公共施設等総合管理計画に基づき、長期的なメンテナンスサイクルの構築、トータルコストの縮減と予算の平準化、施設の再配置や統合、複合化及び民間活力による有効活用、管理経費の削減など公共施設の維持管理・更新等の最適化を図り、財政負担の軽減に努めてまいります。
加えて、令和7年度に予定している町有観光施設の指定管理者の公募を見据え、町有観光施設の在り方について引き続き検討し可能な限り早期に方針をお示しするとともに、経常経費の削減と投資的経費の財源確保に努めながら、将来を見据えた効果的・効率的な行財政運営に一層尽力してまいります。

むすびに

以上、令和6年度の町政運営の基本方針と主要施策の概要について申し述べました。

令和6年度も、町民の皆様の声に耳を傾け、対話をとおしながら、町民と行政が信頼で結ばれたまちづくりを進めることが極めて重要であると認識しております。より多くの声を町政に反映させるとともに、町民の皆様と議会、行政の信頼関係を構築しながら、安全、安心のまちづくりと地域力の向上に職員と一丸となって全力を尽くして取り組んでまいります。
町民の皆様及び議員各位におかれましては、引き続き町政への一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信とさせていただきます。